Money Connection

  • のべ実施高校数

    1158

  • のべ参加生徒数

    148577

  • ファシリテーター数

    139

※2020年3月末日時点

現実の社会と直面し卒業後の自分と向き合うきっかけ

#先生  #インタビュー  #定時制  #2年生  #出張授業  #クラス単位で実施 
松本 教諭
1学年の担任を受け持つほか、「外部教育力連携委員会」の窓口になっている。
教員歴30年のベテランで、県立浦和高校の在籍は14年目になる。
小島 大貴 教諭
3学年の担任。教育相談係として、スクールカウンセラーやスクールソーシャル
ワーカーとの窓口となっている。県立浦和高校には4年前に赴任。

「アルバイトで一人暮らし」は無理?
理想と現実のギャップに面食らう45分

御校が初めてMoneyConnection®を実施されたのが2010年。さらに2012年からは毎年継続して実施していただいています。どのような形でプログラムを活用されていますか?
松本先生 2年次の11月に実施しています。少人数の学校なので、対象の生徒は昨年が9名、今年は13名です。だいたい毎年10名前後が受けています。実施は、ホームルームの時間を使って行うので、担任や副担任および手が空いている先生方が付き、学習サポーターの大学生・大学院生が参加することもあります。
教員や学習サポーターの役割は、やってみようと思いつつためらっている子をうまくけしかけること。若い先生は特にそういうのが上手だと感じています。本校の場合1時限が45分なので、45分では時間的に厳しいという印象です。
小島先生は、昨年、担任のお立場でMoneyConnection®を体験されています。実施したときの率直な感想をお聞かせください。
小島先生 昨年の授業を拝見したのですが、生徒が相手のカードをのぞき込んだり見せ合ったりして、とても楽しそうにやっていましたね。もともと体育など体を動かすことが好きな生徒たちですし、カード形式というのは彼らにも馴染みがあるからか、食いつきがいいという印象を持ちました。
プログラムの実施中、見守る立場で気をつけていることはありますか?
小島先生 昨年度は9名でしたから、3人ずつ3グループに分けて行ったのですが、学校に馴染めずに来た生徒も多いので、どのグループも均等に活発になるというわけではありません。教員が関わっていかないと話が進まない班というのも存在します。ただ、常にピッタリ付いていると頼られてしまうので、遠巻きに様子を見ながら、フォローが必要だと思ったらタイミングを見計らって話しかけます。
将来的には自立した大人として卒業していってほしいので、なるべく自分たちが関わらないようにしつつ、どうしてもというときだけ関わるように心がけています。
プログラムの内容について、生徒たちの反応はいかがでしたか?
小島先生 本校は定時制なので、アルバイトをしている子が非常に多いんです。昨年の2年生も、9人中7人がアルバイトをしていました。ですから、お金に関しては特に会話が弾んでいましたね。プログラムの中に、フリーターで時給が○○円というのがあって、「え、これ多いじゃん」とか「月収100万円か、無理だよ」など、自分の事として捉えやすいのかなと思いました。
松本先生 一人暮らしに必要な金額という部分でけっこう驚いていましたよね。
小島先生 そうですね。家賃の欄に「家賃4万円」と書いていたりして、どこで生活するつもりだ?と思いました。おそらく、どの学校でも同じだと思いますが、プログラムを受ける前の生徒は世間のことがよくわかっていないので、「えっ、家賃って6万円、7万円もかかるの?!」と驚いていたのが印象的でした。
生徒の中には、アルバイトで生活できると思って学校を辞めたがる子もいるんですが、実際にやろうと思ったら中卒のレベルでは生活は厳しい。それがプログラムをやることで「今、月にこれくらいしか稼いでいないから、今のままでは一人暮らしできないじゃん」と、彼らの甘い認識を打ち砕くという意味では、現実を知るきっかけになっていますね。家賃や食費がこんなにかかるのかと面食らっていたのが印象的です。自分たちの理想と現実とのギャップを強く感じていた様子でした。
松本先生 私が担任をしたクラスでも、自分1人で自立して働くのがどれくらい大変なことなのかというのを実感した表情の生徒が多かったですね。
「自立したい。家に居ると兄弟がたくさんいたり、家庭の制約で自分がしたいことができない。でもこれでは自立しても生活できそうにないな」というのを感じていたり。だったら、どうしていこうかということを考えるきっかけになったと思います。
そこを私たちのほうでフォローして、じゃあこういうことが必要だよという形で次のステップにつなげていけるといいと思っています。
小島先生 逆に、月収100万円のフリーターっていう設定はあまりピンと来ていないようでした。フリーターといってもいろんなフリーランスの仕事もあると思うのですが、本校の生徒の中では、年収1000万円を超えるような生活はあまり想像できないのだと思います。
月収100万円までいくと、「俺、もう遊んで暮らせちゃうわ」とか。現実はそんなことはないんですけど(笑)。だから彼らにとっては急に現実味がなくなった印象がありました。それが月収15万円、30万円だと、かえって話が盛り上がったのかなという気がします。

お金や生活、仕事から現実の社会を知り、
卒業後の自分と向き合うきっかけに

生徒の自立支援という面で、課題と感じていることは何ですか?
松本先生 仕事や収入をどう得るかというのが、時代の推移とともに変わって来ています。楽をして100万円を稼ぐということが非現実的な話ではなくなっています。ただ、成功できる人は限られているし、みんなが出来るわけではありません。夢は持ってほしいのですが、現実と夢との区別をつけながら仕事を考えさせたいというのは常々感じているところです。
それこそ入学してすぐに「YouTuberになりたい」と書く生徒もいるんです。自分が知っている世界があまりに狭いので、自分たちがよく知っているネット上での成功者というところに目が向いてしまうのかもしれませんね。
そういう中でMoneyConnection®にどういう役割を期待されていますか?
松本先生 現実の社会を知り、卒業後の自分と向き合うきっかけ作りだと思います。本校では2年生でMoneyConnection®、3年生でモバイルコネクションを体験し、最終学年の4年生で自分と向き合い、将来を考えるという流れで指導を行っています。MoneyConnection®は、お金や生活、仕事という面から社会に直面するきっかけを作ってくれているんです。
私たちが言うだけではなかなか響かないことでも、外部の方により具体的に言っていただくことで、いざ現実的になったときに真剣に考える刺激になってくれるようです。
小島先生 本校の卒業生の進路は就職と進学が半々というところです。2年生だと、そこまで強く進路を意識していないと思いますが、このプログラムを実施することで、「俺っていくら稼がないと生活していけないんだ」とか、「それならこういう仕事に就かないといけない」と、意識が変わるきっかけになると思います。MoneyConnection®はそういうインパクトがありますね。
2年次の11月に実施しているので、ぐっと進路意識が高まる3年次に向けて、どういう進路を選ぶかを考え始めるタイミングとしてピッタリではないかと思っています。
松本先生 私は1年生の担任なのですが、入学してきたときに「進路は考えられない」という生徒が多いんです。自分の将来と向き合う気力がない。進路を書かせても「書かなきゃだめなの?」「無しじゃだめなの?」という生徒が多くて…。たぶん夢はあると思うんですけど、絶対に無理だからとあきらめてしまっている。「もう俺、だめだから」という言葉がすぐに出てきてしまう。そういう子たちに社会との接点を教え、将来に向き合えるように力をつけさせていくというのが私たちの仕事だと思っています。

プログラムを単発で終わらせない。
つなげることで生徒たちに意味を届ける

プログラムの成果をどう活かそうと考えていますか?
小島先生 授業が終わってしまうと、すぐに忘れて遊んでしまうことも多いので、プログラムが終わった後に内容について会話するということはないですが、いろいろな活動をする中で生徒たちの意識が変わっているなあと感じることはあります。MoneyConnection®もそのうちの1つとして確実に効果はあると思っています。
ただ、学校教育全般として、プログラムをやったことでそれがすぐに生徒の血肉となるかというとそうではなくて、むしろ、一度やったことを教員が何度も繰り返して彼らに伝えていかないと、成果というのは明確には見えてこないのかなという気はしています。
MoneyConnection®を始め、4年間を通じていろいろなプログラムの経験が積み重なったうえで、卒業後に見えてくるのかなというところですね。
松本先生 MoneyConnection®をはじめ、最初に支援事業を実施した頃は、プログラムを丸投げしていた部分もありました。私たちが内容をもっと理解し、2年生でこれをやったから次はこれとか、2学期はこれで3学期はこれ、というふうに全体を見通して計画を立てなければいけなかったのですが、当時は本当にぶつ切りで、単発だったんです。
そうした反省も踏まえ、それぞれのプログラムを意味あるものにして、さらに次につなげるための活用法を模索しているところです。違った角度からのアプローチを加えるという方法もあると思いますしね。
それを私たちがやるにしても、外部に頼むにしても、生徒たちがそこに発展性や連携を感じられるかがポイントだと思っています。
具体的に取り入れていることはありますか?
松本先生 先日も、自立支援事業の1つとして、企業訪問をして社員の方に話をしていただいたのですが、実は昨年度、その方に学校で講演をしていただいたんです。そうすることで、生徒たちの中でも「あのとき話をしてくれた人が、この会社で働いていて、これだけお給料をもらっているらしいけれど、大変なんだろうな」というふうにつながり、意味が深まりました。
また、注意しているのは、できるだけイベントにしないということ。単発のイベントで終わってしまっては意味が半減してしまいます。年間あるいは4年間を通して計画を立て、それぞれのプログラムをできるだけからめていけるように工夫しています。

社会に出て躓いたとき、頼れる場所がある。
そのことを伝えておきたい

MoneyConnection®では、最後に、「生きていくにはお金が必要」「夢を狭めないための貯金もある程度必要」「進路は慎重に選ぼう」という3つのメッセージを伝えています。3つ目の進路については、たとえ慎重に選んだ進路でも、やはり迷ったり困ったりすることもあるかもしれません。そういうときは、「相談するという手段も選択肢のひとつ。相談できる場所もあるんだよ」ということをこれまで以上に伝えていこうと思っています。
小島先生 そうですね。専門学校に入ってもやめてしまう生徒や、会社を辞めてしまう生徒は毎年一定数いて、そこは本校としても1つの課題です。少しでもそういう生徒を減らしたいと、卒業後のフォローについても在学中から手厚く指導しているところです。ただ、うまくいっている子は「こんなふうにがんばってます」と報告に来るのですが、社会に出て困ったときに学校に相談に来る子は少ないのが現状ですね。
松本先生 卒業した後、誰しもどこかで躓くと思うんですよね。ちょっとした躓きだと学校に来て先生と話して、それで戻れる子もいるんですが、大きく躓いたり、それこそ踏み外してしまった場合には学校にも行けない。そういう生徒が卒業生の中には多数いると思います。
卒業したら学校には頼れないと思っている生徒が多いと思うので、その認識も少しずつ変えていきたい。ただ、社会に出たときに自分で頼る場所を探していくことも必要だとも思っています。
その一例として、サポートステーションやハローワークといった相談先を在学中から教えておく必要があると思っています。ただ躓く子ほど、そういう話を聞いていない場合が多い。
教室で話しているだけでは難しいので、実際に連れて行ったり、社会体験活動で一緒に活動していただいたり、体験者の話を聞いたりすることで染みていくものがあるようです。今の生徒は、文字だけではまったく入っていかない部分が多いので、いろいろな形でアプローチしないと難しいですね。
MoneyConnection®も、プログラムを通してファシリテーターが生徒たちと触れ合うことで、世の中にはこんな大人もいるんだな、相談に乗ってくれる場所があるんだなという意識付けになるといいと考えているのですが。
小島先生 定時制の生徒は人見知りというか、大人に対していい印象を持っていない生徒も多いんです。でもプログラムを通して、顔を合わせて話したことがあるというのは大きなアドバンテージで、彼らにとっても関わりやすい印象を持ってもらえるのではと思っています。
さらに言えば、本校が行っているサポートステーションとの連携のように4年間を通じてつながりを持ち、「困ったとき、就職のことなどを相談できる場所があるよ」と何度も告知していただくと、生徒にも名前が擦り込まれていくので、困ったときに頼れる人、頼れる場所として浮かぶのではないかなと思います。
ありがとうございました。

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