玄田ボイス

MoneyConnection® ニート予防のための金銭基礎教育プログラム アドバイザリーボード/リーダー 玄田有史氏(東京大学社会科学研究所教授)

  • Vol.1/2006年
  • Vol.2/2009年

MoneyConnection®の2006年からの取り組みが、多くの方々からご好評をいただいていると聞いて、とても嬉しくなりました。新生フィナンシャルと「育て上げ」ネットのみなさん、さらには、このプログラムを一緒に育ててくださった高校の生徒さん、先生方に心からお礼を申し上げます。

私自身、たまに高校におじゃましてお話をさせていただくことがあります。そのときに感じるのは、やはり高校生が「本当のハナシ」「リアルな話」を求めているということです。高校生の身になって、将来にむかって本当に必要なことを「オカネ」を通じて真正面から伝えようとしているからこそ、MoneyConnection®は支持されているのではないかと思います。

ニートの問題に取り組み初めて以来、ずっと感じ続けているのは、ニート状態の若者が、けっして能力や意欲に劣っているわけではないということです。でも、何かが足りない。それは何なのか?
ニートを含めて多くの若者が持てないで苦しんでいるのは「希望」です。将来にむかって進んでいくための希望がない。では希望がないとは、どういうことなのか?

ここ何年間か、希望学という研究にも取り組んできて確信するのは、希望がないという人の多くは、いろいろな理由で、将来に対するリアルな想像力が持てないでいるということが多いように思います。
高校生への金銭教育の本質とは、オカネを通じて、将来に対するリアルな自分への想像力をたくましくすると言うことなのだと思います。それはニート予防教育になるのはもちろんのこと、社会に出て行くあらゆる若者に必要なことではないでしょうか。そう考えると、MoneyConnection®の社会インフラ化は、とても大切なことだと思います。

不確実性を増し続ける社会のなかで、若者にかぎらず、すべての人々に求められているのは、将来起こりえるトラブルに対して、立ち向かう力なのだと思います。トラブルに一切出会わずに生きていければいいですが、まずそんなことはない。かならず何か思いがけない困ったことに出くわす。

そんなときに、ドキドキしたり、戸惑ったりしながらも、少しだけ落ち着いて、自分なりに計画を立て直してみたり、専門的な知識を持つ人に相談する。そんなことで、解決が見つかることも多いんです。

MoneyConnection®は、オカネという具体的な事柄をきっかけにして、将来を具体的にイメージし、そこでトラブルにあったときにどうすればいいか、その基礎を示そうとしているのでしょう。だからこそ、高校生が直感的に知りたいと思っているリアルに合致しているのではないでしょうか。

将来に希望を持てない高校生に対して「希望を持ちましょう!」と声高に叫ぶだけでは、届きません。希望(Hope)は、英語でA wish for something to come true by actionです。つまり希望とは、具体的な「何か」(something)を、「行動(action)」することによって、「実現(come true)」するという強い「思い(wish)」から成り立っています。希望が持てない人にも、自分にとって「何か」「行動」「実現」「思い」のどれが欠けているのかを、一つひとつ考えていくことによって、希望に出会うことができる。実際、MoneyConnection®は、そんな希望につながる具体的な4つの柱をみつけるためのプログラムになっているように感じます。

最後に、私はMoneyConnection®の社会インフラ化が進んだあかつきには、「足るを知る」という気持ちが世間に広がっていることを期待しています。「足るを知る」というのは、もともと仏教の用語です。無限に欲望を求めるのではなく、一人ひとりが自分のあるべき姿を知り、その充足にこそ人生の満足を感じる。

ちょっと高校生には硬い言葉かもしれませんが、MoneyConnection®では、そんなことも若者の目線に立って伝えていってくれれば、なおすばらしいと思いますし、きっとそれはできると期待しています。

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