体験できることの選択肢を広げる
バーチャルテクノロジーの可能性

工藤少し話は変わるのですが、今ルーツが外国にある小学生・中学生の子どもたちが増えていますよね。日本人と外国人のハーフで、特に東南アジアや南米をルーツに持つ子が多くて。地域の中では、肌の色や服装などの違いをからかわれたりすることもあり、その個性がコンプレックスになってしまうことがあるんです。また、自分は日本人だけど日本人なのかという思いもあって。
子どもたちを職場見学につれて行く時、そういう子のことも考え、外資系の企業につれていくことがあるんです。見学に行くと、かっこいいオフィスの中で、自分がコンプレックスに感じているルーツを持つ人が働いていて。むしろ日本人が少ない会社も多くて。初めてのロールモデルとでも言うのでしょうか、自分と同じような人でもこんなにかっこいいところで活躍できるんだということを知ることができるんです。
ただ、これは地域によってはできないこともあるので、ネットを活用した方がいいと思っていて。職場体験は実際に見たり・触ったりすることではありますが、今の子どもたちはリアルとバーチャルをそんなに分けていないと思うんですよね。
もう少しテクノロジーを気軽に使えるようになれば、子どもたちが住んでいる地域にないものも体験させてあげられるようになるという、可能性を感じているんです。

長田なるほど。

工藤実は私、飲み会もSkypeでやっていて、それが私にとって当たり前になってきているんです。私は小さい子どもがたくさんいるので、あまり家を空けたくなくて。遠くの人とでも飲めますし、子どもが寝ていても大丈夫。電車の時間も気にしなくていいし、終わればすぐに寝ることができる。「飲みましょう」と言われて「じゃSkypeで」と言うと、驚かれます。でも、話している内容は実際に会った時と変わりませんし、書類も送れるから楽なんです。
だから学校の授業でも、企業や外部の人とオンラインで触れ合ってもいいんじゃないかと思っています。不登校の子が通信制を使って通っている学校もありますし。
「ネットを使いましょう」「テクノロジーを使いましょう」というわけではなく、もう一歩二歩先に行くためだったり、その地域ではできないことをするための方法としては、オンラインというのはありのかなと思っています。
僕自身、そういうことを学校と一緒にやりたいという思いもありまして。

長田そうですね。離島にある高校もありますし、北海道では学校と学校の距離が離れていたり、小さい学校も多いですから。自分が住んでいる街では経験できないこともたくさんあると思います。

工藤私たちは引きこもりがちな子の就労支援もしているのですが、インターンシップが「重く」なってきていると感じているんです。インターンシップを受け入れる会社側は机と椅子とセキュリティカードを用意しなければならない。また、インターンシップに参加する側は交通費が必要です。だから、会社説明会から面接、インターンシップ、採用まで、全部オンラインでやってみたんですよ。すると誰もストレスを感じなくて、オンラインでも職場体験はできるんじゃないかという可能性を感じたんです。
中学校や高校の職場体験も、受け入れる会社には限界がありますよね。でも、ネットだったらいいですよという会社もあるので、選択肢は広がるのではないかと。
今、先生方は「物理的に」「体験的に」「リアルで」ということを大前提にしていると思いますが、例えば地方と東京をオンラインでつないで職場体験ができて、それが広がっていくと選択肢が広がっていくと思うんです。移動のためのコストや時間も結構かかりますよね。でも、選択肢が広がっていくとコストが下がりますし、体験できる人も増えていくと思うんです。

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